最近、本を読んでいて、以前よりも面白いと思うことが少なくなりました。
年を取って、感動が薄れてきたということではありません。(まだそんな年齢ではないはず!)
「この話、前にあの本で読んだな」と気がつくことが増えてきたのです。
数日前にも、歯医者の帰りに本屋に寄ったのですが、ビジネス書の本棚を見ても興味を引く本はあまりありませんでした。
そこで、あらためて思ったのは、これからは「何を読むか」より「何を読まないか」を決めるのが大切だということです。
ベストセラーは読まなくていい
以前、山口周さんの「読書を仕事につなげる技術」という本を紹介させていただきました。(2年も前だった…)
山口周さんは、MBAを取得されることもなく、完全な独学で外資系コンサルティンファームに転職されたという、異色の経歴の持ち主です。
そんな山口周さんの読書に関する考察が書かれているのが、上記の「読書を仕事につなげる技術」なのですが、その中でも印象に残っている箇所がありました。
それは、「ベストセラーは一切読まなくてもいい」ということです。
特にビジネス書という分野において、ベストセラーの内容は、古典の焼き直しであるからだそうです。
様々の本から引用されている古典を探せ
わたしはWebデザイナーという職種柄、心理学についての本を読むことがあります。
というのも、Webサービスやアプリのユーザー体験を考える上で、ユーザーの思考や行動パターンについての基本を知らなければならないからです。
そんなわけで、心理学の本をいろいろと読んでいると、だんだんと気がつくことがあります。
それは「この内容、あの本の中でも言われてたな」「ここで引用されている本の内容、色んなところで登場するな」ということです。
例えば、「ファスト&スロー」「影響力の武器」などは、心理学の本を読んでいると頻繁に登場します。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 文庫
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上記の2冊は、「読書を仕事につなげる技術」の中でも紹介されています。
どちらも様々な社会実験の内容が詳細に紹介されており、非常に示唆を得ることができます。
なるほど、確かに上記のような定番の本や、古典を読んでいれば、ベストセラーを読まなくてもよいという理由も分かるような気がします。
本屋で出ているような最新の心理学の本でも、だいたいは「あ、この内容、あの本でも書いてあったな」と気がつくからです。
大人になるとインプットの取捨選択を求められる
思えば学生の頃は、インプットの内容にしても、とりあえず何でも試すことができました。
今思い返すと、時間の無駄としか思えないような、つまらない映画や小説をたくさん読んでいたような気がします。
そうした経験はとても貴重なものですし、おそらくそこで得られた何かが、今のわたしを作っているのだと思います。
しかし、大人になると、どうしてもインプットの取捨選択をしなければなりません。
学生の頃と比べて時間が無いですし、結婚して子どもができると、さらに時間は無くなるのでしょう。
そんな中では、やはり「何を読むか」より「何を読まないか」を決めるほうが重要です。
「何を読まないか」を決めるのは難しい
とはいえ、「何を読まないか」を決めるのは、とても難しいことだと思います。
例えば、わたしたちは、「やりたいこと」ならいくらでも挙げることができますよね。
「やりたいこと」というのは、とてもポジティブな響きを含んでいますし、「やりたいこと」を増やしていくことは一般的に奨励されています。
例えば、「100のやりたいことリスト」のようなものを作られている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には「何をやらないか」を決める方が大切なのです。
なぜなら、やりたいことをやるためには、裏を返せばやらないことを決めなければならないからです。
それをしなければ、ただやりたいことだけが積み上がって、結局は全てが中途半端に終わってしまいます。
おわりに
わたしは、気になった本があると、とりあえずAmazonの欲しいものリストの中に入れておきます。
しかし、どう考えても全部を読むのは難しそうです。
取捨選択をすることは苦渋の決断になりますが、何を読まなくてもよいかという目を養いつつ、必要なものだけを取り入れていきたいと思います。
そういった意味では、古典を意識的に選んで読むことで、ムダを省くことができるのかもしれません。
古典は、時代の流れを経ても生き残って来たものであり、一時的な流行に限らない普遍の原則が述べられています。
あなたも、もし気が向いたら「何を読むか」ではなく「何を読まないか」についても、考えてみてはいかがでしょうか。