Tortoise Shell

Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

UXデザイナーの定義と種類について

先日「UXデザイナーって何だろう?」という話をするきっかけがあり、面白かったので考えてみた。

UXという言葉は本当にやっかいで、定義は各社によってバラバラだし、各社どころか個人単位でもバラバラに解釈していたりする。

しかしながら、色々聞いた中でも、いくつかのパターンに大きく分けられそうな気がしてきた。

そこで今回は、UXデザイナーの定義と種類について、思考の整理も兼ねて書くことにする。

UXとは何か

わたしの解釈としては「提供しているプロダクトに関連して、ユーザーがあらゆるタッチポイントから得られる体験のうち、認知から忘却までの期間」を総合してUX(ユーザー・エクスペリエンス)だと思っている。

そのプロダクトについて、チラシを見たことがきっかけで知ったのであれば、そこからUXが始まる。

また、そのプロダクトについて、カスタマーサポートを通して得られた体験もUXに含まれる。

例えば、そのプロダクトがスマートフォンアプリだとすれば、電車の中で広告を見たことも、電話で問い合わせをしたときも、すべてUXに含まれることになる。

この定義は、冒頭で述べたように各社によってバラバラであり、会社によっては「プロダクトに直接触れている間」のみをUXと呼んでいるところもある。

わたしのスタンス

余談ではあるが、わたし自身はUXという言葉には細心の注意を払って接している。

仕事においては、UXという言葉を使うステークホルダーには、気を付けなければならない。

UXという言葉は、その定義が狭いところから広いところまで曖昧であり、人によって異なる解釈を持っている。

例えば、とあるスマートフォンアプリを触った人が、「なんかUXが悪いんだよな」と言ったりする。

しかし、ただ「UXが悪い」と言われても捉えどころがなさすぎるので、もう一段深掘って話を聞いてみる。

すると、見た目の意匠を指していることもあれば、読み込み速度などのパフォーマンスを指していることもあれば、サポートの文言が分かりにくいこともある。

よって、UXという言葉が出たときには、常にその解像度を上げて問題を観察する意識を持たなければならない。

とはいえ、実際には上記のような様々な体験が集積してUXを形成しているため、特定の1つの原因を突き止めれば済むという話ではないのだが。

UXデザイナーとは何か

次に、UXデザイナーという職種についても考えてみたい。UXがそうであるように、UXデザイナーの定義も、各社によってバラバラであるように見受けられる。

しかしながら、わたしの聞いた範囲の中では、いくつかのパターンに分けられそうだ。

UXデザインプロセスを駆使する人

従来のデザイナー(SketchやPhotoshopでビジュアルを作る人)とは異なり、デザイン教育のバックグラウンドを持たない人も多い。

ユーザーインタビューやカスタマージャーニーなど、いわゆる「UXデザインプロセス」を駆使して、ユーザーのインサイトを導き出すことができる。

最近では「UXリサーチャー」という呼び方もメジャーになってきているが、このタイプの人たちは、それにあたるのではないだろうか。

従来のデザイナーとだいたい同じ人

やっていることは従来のデザイナーと同じようなものだが、時代の流れ的に、何となくUXデザイナーと名乗っている人たち。

この中でも、トレンドっぽいという理由で本当に名前だけそうしているパターンと、前述のUXデザインプロセスにも手を伸ばし始めた「従来のデザイナー」の2つに分岐する気がする。

最近では「UI/UXデザイナー」という表記もよく目にするようになったが、要するに「UIだけじゃなくてUXから考えましょうね」という当たり前のことを言っているに過ぎないようで、わたしはあまり好きではない。

その理屈なら、「営業/UXデザイナー」とか「エンジニア/UXデザイナー」とかつけたらいいんじゃないか、と思ってしまったり。

多分、今までUXという概念が無くデザイナーが下請けっぽくなってた時代のアンチテーゼとして、こうなったのだと予想している。

フルスタックな人

わたしが最初に述べたUXの定義を前提に、本当にUXをデザインしてしまえるフルスタックな人。

ちなみに、わたしは今までお目にかかったことがない。

デザインにも、エンジニアリングにも、ビジネスにも精通しており、ユーザーがプロダクトを認知してから忘却するまでの全体像をデザインすることができる。

ここまで来ると、事業部長クラスぐらいでないと、無理なのではないか。

ちなみに、わたしは今までお目にかかったことがない。

おわりに

新しい概念や言葉は、ついついひとり歩きしてしまいがちだけど、それが生まれた背景や歴史を紐解いてみると面白かったりする。

UXデザイナーという職種は、これからどうなっていくのだろうか。

わたしのような、いわゆる「従来のデザイナー」の中に取り込まれていくのだろうか、あるいは取って替わられるのか。

それとも、言葉は似ているがまったく別々の職業として、歩み出すのか。(エンジニアも、ハードウェアとソフトウェアじゃ全然違うし)

引き続き、注意深く見守っていきたい。