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デザイン、システム開発、ライフハックについてゆるく書きます

UXという言葉を使わずに表現する

組織内で、UXが良い or 悪い、という言葉がよく使われているのなら、注意しなければならない。

UXという言葉は、単体として用いるには解釈の余地が大きく、認識齟齬を産みやすい。ここでUXの正しい定義を語るつもりはないが、素直に捉えれば、言葉通り「ユーザーの体験」以上でも以下でもない。

また、UXデザインという言葉も、同じくらい使われるようになった。デザインという言葉が付いていると、デザイナーの持つボールであるように誤解されがちだ。

デザイナーが「UXデザインに責任を持つ」と自ら宣言するのであれば、それは素晴らしいことだが、実際にはデザイナーだけの手に負えるものではない。

まずやるべきことは、UXが良い or 悪いという言葉が出てきたときに、それは具体的に何なのかを明らかにすることだ。

例えば、スマートフォンアプリを扱っていたとしよう。ステークホルダーやエンドユーザーがアプリを触って「何となくUXが悪い」と言ったら、どうすべきだろうか。

間違っても、「こうしてほしい」という意見を鵜呑みにして、そのまま機能を実装してはならない。「何となくお腹が痛いから盲腸だと思う。手術してほしい。」と言われて素直に手術する医者がいるだろうか。「患者に言われたからやりました。私に責任はありません。」という医者がいるだろうか。

真にやるべきことは、丁寧な観察を元に、適切な解決策を導き出すことだ。ここで話をUXに戻すと、「何となくUXが悪い」の正体は何なのか、様々な仮説が考えられる。

誤解を招くレイアウトだったのかもしれない。操作の前後関係が分かりづらいアニメーションだったのかもしれない。配色が分かりづらかったのかもしれない。こうした課題であれば、いわゆるデザイナーの領域だ。

しかし、もっさりとした動作であったり、一覧画面のスピードの遅さであればどうだろう。見せ方の工夫によってストレスを軽減することも可能だが、本質的にはアプリのパフォーマンスを上げるべきだ。そうなると、やるべきことはDBのチューニングかもしれないから、デザイナーでは手が出せないし、そこに課題があるという発想に至らないかもしれない。

また、表面的な課題ではなく、チームのプロセスそのものに問題があるのかもしれない。これは構造的な問題だから、チームのマネージャーやディレクター、POを含めてチーム全体で話し合わなければ解決しない問題かもしれない。

だからこそ、UXは職種関係なく全員で考えなければならないし、特定の職種の持ち物ではない。

UXという言葉を使わず表現するとしたら、その正体は何だろうか。深掘ってみてほしい。