カイゼン・ジャーニーを読み終わりました。
一言でいうと、アジャイル開発の実践方法を、ストーリー形式で手軽に学べる本になっています。
アジャイルというと、エンジニア組織で実践されているイメージが強いかもしれません。わたしも、アジャイルという概念を本格的に知ったのは、今の会社に転職してきてからでした。
それも、エンジニアの仕事の進め方を見てぼんやりと理解していた気になっていた、というだけです。
そのため、あらためてアジャイル開発について、入門書のような形式で体系的に学べて良かったと思っています。
今回は、その中でも印象に残っていた箇所について、いくつかメモしておきたいと思います。
外の知見が自社でうまくいくとは限らない
この本では、問題だらけの開発現場で、主人公がアジャイルの考え方を取り入れながらカイゼンを進めていくストーリーになっています。
その際、「外から得られた学びを、そのまま自分たちの現場や仕事で適用しようとしても、たいていうまくいかない。」という一文がとても印象に残りました。
このポイントは、トレンドの移り変わりが激しいIT業界だからこそ、押さえておかなければなりません。
というのも、他の現場でベストプラクティスになっていることは、その現場の様々なコンテキストの上で成り立っているからです。
会社が違えば、人も、組織も、環境も、何もかもが違います。
外の知見を聞いた時に、わたしたちはつい、その知見が良いものに感じられて、そのまま取り入れようとしてしまいます。
しかし、その知見がうまく機能するためには、その背後にあるコンテキストまで含めて再現しなければならないのです。
わたしも、あらためて本や勉強会で学んだことを取り入れようとするときは、注意しようと思いました。
一見良さそうな方法に思えても、それを自分の環境の中で取り入れるためには、どうすれば良いか腹落ちするまで考える必要があるのです。
許可を求めるな、謝罪せよ
一人からカイゼンを始める際に「許可を求めるな、謝罪せよ」という気持ちの持ち方についても紹介されていましたが、あらためて良い言葉だなと思いました。
この言葉も、文脈を無視してそのまま受け取ると「どうせ後で謝ればいいんだから、好き勝手にやればいいよね」と聞こえてしまいそうですが、もちろんそういう意味ではありません。
権利や義務などを無視して好き勝手に振舞うことは良くないことです。
もし自分が何かをカイゼンしたいと考えていて、それを行動に移すときに、つい周りの目が気になってしまうのであれば、その時にこの言葉を思い出すべきでしょう。
初めは、同僚や上司に何か言われるんじゃないかとビクビクしてしまうかもしれません。
しかし、自分の信念からそれが正しいことであると思うのであれば、「許可を求めるな、謝罪せよ」の精神で実行に移すのは良いことではないでしょうか。
あらためて、わたしも好き勝手に振る舞うという意味ではなく、行動すべきだと感じたら、この言葉を胸に、とにかく行動するスタンスを持ちたいと思いました。
タスクの見積もりにバッファは含めるか
もう1つ、印象に残っていたのは「パーキンソンの法則」についてです。
パーキンソンの法則とは「仕事の量は完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する」というものです。
わたしは、Webデザイナーという立場で会社のスクラムチームに参加する際、タスクの見積もりにバッファを設けない意図をいまひとつ理解できていませんでした。
しかし、このパーキンソンの法則を知って、たしかに思い当たる節があるなと感じました。
バッファを積んだところで、結局のところは、その分だけやることも増えてしまうのです。
また、そのタスクが終わるかどうかやってみなければわからない、という不確実性を考えた時、バッファを積んで考えるのであれば、結局それはウォーターフォール開発になってしまう気がします。
このあたりはまだうまく言語化できないのですが、とにかく、アジャイルにおいてはバッファを考えずに見積もること。
そして、必要なタイミングで、行動してみたことで見積もりが誤っていることが見えてきたら、そこで修正する。
タスクの見積もりについて、以前よりも理解が進んだ実感がありました。
おわりに
アジャイル開発について、毎日のようにそのやり方で仕事をしているにも関わらず、体系的には学んでいませんでした。
実際に本を読んでみると、様々なキーワードや手法など、一応知ってはいるものが多かったのですが、あらためて学べて良かったなと思いました。

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで
- 作者: 市谷聡啓,新井剛
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2018/02/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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次は、この本が初級者向けだとしたら、もうちょっと中級者向けの本にトライしてみたいなと思います。
例えば、下記のような本。(この本も、初級者向けという説もあるかもしれませんが…)

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き
- 作者: Esther Derby,Diana Larsen,角征典
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 単行本
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おすすめの本があれば、ぜひ教えてくださいね。