Tortoise Shell

Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

「とりあえずやってみよう」は常に正しいのか

たまに「とりあえずやってみよう」という言葉について、あやうさを感じることがあります。

それは、「とりあえずやってみよう」という言葉が、無条件に礼賛されがちなように思えるからです。

例えば、仕事の場で、何かに悩んだときやアイデアが思い浮かんだとき「いいね!それ、とりあえずやってみようよ」というシーンを見たことがある人は多いのではないでしょうか。

「とりあえずやってみよう」という言葉からは、少なからずポジティブな印象を受け取ることができます。

それは、「行動することが大切」という価値観に根ざしているのかもしれません。

正しいことなんて誰にも分からない。だから、とりあえず行動してみる。行動してみることで、分からなかったことが少しずつ分かるようになる。

一見すると正しい理屈のように思えます。しかし、果たして常にそうなのでしょうか。

わたしは、この「正しいことが分からないから」というところに、ポイントがあるように思えます。

つまり、「とりあえずやってみよう」が正しく機能するかどうかは、会社のフェーズによって変わってくるのではないか、ということです。

例えば、全く新しい分野で挑戦しようとしているベンチャー企業があったとします。

創業したての頃は、もはや何が正しいのかが全く分からない状態です。従業員はもちろんのこと、社長すら正解なんて持ち合わせていません。不確実性しかないとも言えるでしょう。

そんな場合、まずは「とりあえずやってみる」で、とにかく行動してみることが有効なのかもしれません。

何も分からないから、行動してみて、少しずつ不確実性を削っていくのです。

一方で、会社がある程度成熟してくると、不確実性という点ではどうなるでしょうか。

創業期の「とりあえずやってみる」精神で行動した結果、それなりにノウハウもデータも貯まっているはずです。

何か行動を起こそうと思った時は、過去の知見から様々な示唆を得て活用することができるでしょう。

このような状態では、そうした過去の知見を活かして、仮説の精度を高めてから行動に移すことができます。

それにも関わらず、役立てられる過去の知見を無視して「とりあえずやってみる」のは、単純に歴史から学ぼうとしない愚かな行為とも呼べるのではないでしょうか。

ここで、創業フェーズの仕事の進め方が身に染み付いている人は、こうした進め方を「大企業病」と見てしまうかもしれません。

昔はスピード感のある意思決定ができていたのに、今ではそれがなくなったというものです。

しかし、見方を変えれば「無駄な施策を防ぎ、仮説の確度を高めた状態で意思決定できるように成長した」とも言えるかもしれません。

これは、人それぞれ見方が変わるところでしょう。

「とりあえずやってみよう」という姿勢は常に有効ですが、それをどう行動に移していくのかは、しっかりと考えなければならないと思います。

今回取り上げた「とりあえずやってみよう」だけでなく、どんな言葉にも当てはまりますが、本質的な意味や文脈が失われると、うまく機能しなくなります。

共通言語はスムーズな意思疎通に役立ちますが、その背景まで含めて自分の頭で考えて使うことが重要なのではないでしょうか。