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デザイン、システム開発、ライフハックについてゆるく書きます

UI/UXという表記の謎

数年前から「UI/UX」という言葉をよく目にするようになった。

とても不思議な表記だ。意味合い的に、UI and UX なのか。UI or UX なのか。あるいは、1/3のように分数的な意味合いがあるのか。

いずれの場合だったとしても、依然として不思議に思える。

特に違和感を感じるのは、UI/UXという表記で、 UI、UX が便宜的に分けて語られる場合だ。UIデザインは、UXデザインよりも抽象度の低い、画面の意匠設計だと捉えられがちに見える。

よく聞くワードとしては、「UIだけではなく、UXから考えている。」という使われ方である。

この場合、Sketch や Figma といったツールで画面の意匠設計をするのがUIデザイン。ユーザーインタビューやユーザビリティテスト、カスタマージャーニー等を用いて、ユーザーの課題を特定し、あるべき体験を導き出すのがUXデザイン、といった具合だ。

しかし、それではUIデザインという言葉を、あまりにも矮小化しすぎているように思える。

本来UIデザインとは「人とシステムの対話方式を設計すること」であり、そのためには言うまでもなく、人についての理解が欠かせない。

つまり、UXデザインのプロセスと捉えられがちな、ユーザーのインサイトを特定するような行いも、UIデザインのプロセスと位置付けることができる。

このように考えると、UIもUXも、どちらが抽象度の高い概念というわけでもないし、包含関係にあるわけでもない。

だからこそ、UI/UXの意味が and だったとしても、or だったとしても、包含関係を表すものだったとしても、不思議だなと感じたのである。

そもそも、このように解釈の振れ幅が大きい表記こそ、まずラベリングのデザインとして適切であると思えない。

原因としては、各々の現場でUI、UXと捉えている概念や行為を、適切にモデリングできておらず、業界全体での共通認識も作られていないからだろう。

とはいえ、UI/UXという表記に甘んじてしまっている現状に対して、わたしとしては悔しさを感じる。

なぜなら「UIデザインは、UXデザインに含まれる概念であり、画面の意匠作りである」という認識が広まっているため、ただ「UIデザイナー」と書くと、まるで画面の意匠作りしかやらない人だと捉えられそうに思えるからだ。

だからこそ、SNSのプロフィールや企業の求人票でも、仕方なく「UI/UX」「UI/UXデザイナー」と書いているのではないだろうか。

だがそれは、「画面の意匠設計だけではなく、ユーザー体験のことも考えてますよ」という補足情報を、付け加えざるを得なくなっているようで何だか格好悪い。

ちなみに、わたしは人とシステムの関係性に特に興味があるからこそ、UIデザイナーという表記が好きだ。だからといって、決してUXという概念と断絶があるわけではない。

ユーザー体験のことを考えている、という付加情報として「/UX」を付け加えるのであれば、営業/UX、エンジニアリング/UX、広報/UXと、他の職種も表記すればよいではないか。

ということで、文章にしてみて、自分なりにスッキリしたのであった。