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Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

情報ニーズから探るナビゲーション設計(一般的な4つの情報ニーズについて)

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Webサービスやアプリ開発に携わっている方であれば、日々追加されていくコンテンツに対してどのような情報設計を行うのか考える機会があると思います。

しかし、多くの現場では、そうした導線設計が場当たり的に行われていることが多いのではないでしょうか。

やみくもに追加され続けるコンテンツ、見直されることのないナビゲーション、大量のバナー置き場と化したトップページ…。

このような混沌とした状況を打開するためには、果たしてどうすれば良いのでしょうか?

今回は、上記のような状況を打開するためのヒントとなる書籍である「情報アーキテクチャ」から、「一般的な4つの情報ニーズ」という概念についてご紹介したいと思います。

大規模Webサービスあるある

今回の記事は、Webサービスやアプリ開発に携わられている方を主な対象としています。

そこで突然ですが、次のようなことに思い当たる節はありませんか?

  • 自社サービスにどんどんコンテンツが追加されていくが、場当たり的なナビゲーション設計が行われている
  • ナビゲーションの構造について、見直そうとする人が社内に誰もいない
  • トップページが大量のバナー置き場と化している

もし1つでも当てはまるのであれば、今回ご紹介する「一般的な4つの情報ニーズ」について、ぜひ知っていただきたいと思います。

情報アーキテクチャのスケーラビリティ

さて、4つの情報ニーズについて確認したところで、あらためて「サイトやアプリの情報設計がカオスになってしまう問題」に立ち返りましょう。

  • 自社サービスにどんどんコンテンツが追加されていくが、場当たり的なナビゲーション設計が行われている
  • ナビゲーションの構造について、見直そうとする人が社内に誰もいない
  • トップページが大量のバナー置き場と化している

そもそも、どうしてこのような問題が起きてしまうのでしょうか。

多くの場合は「サービスの成長に伴って、情報アーキテクチャが対応しきれなくなる」ことが原因です。

例えば、サービス発足当初はコンテンツ(データ)の数も少なく、一覧画面(求人サイトであれば求人情報、不動産サイトであれば物件情報等)ではデータベースのテーブルの中身をそのまま出力する表示で事足ります。

しかし、サービスが成長してくるとコンテンツ(データ)の量は膨大になり、それに伴って様々な切り口からナビゲーションさせたり、単発の特集コンテンツ等が生まれてきます。

そうした新しいナビゲーションの切り口やコンテンツは、サービス発足当初には想定されていなかったものになるので、サービスの成長に伴って徐々に矛盾を孕むようになるのです。

一般的な4つの情報ニーズ

それでは、本題の「一般的な4つの情報ニーズ(以下「4つの情報ニーズ」と表記)」についてご紹介します。

この概念を知っておけば、混沌としたWebサービスやアプリの情報設計の中に、秩序をもたらすきっかけを作ることができるでしょう。

4つの情報ニーズとは、「ユーザーが潜在的に持っている、4種類の情報に対する需要や欲求」のことを指しています。

それぞれの情報ニーズの詳細を以下に示しますが、分かりやすいように「クックパッド」でレシピを探すときを例にして説明してみようと思います。

既知情報探索

既知情報探索とは「自分が何を知りたいのかを知っている」状態のユーザーが行う情報探索のことです。

クックパッドで例えると「今晩のおかずに豚の生姜焼きを作りたいので、豚の生姜焼きのレシピを探している」という状態です。

探求探索

探求探索とは「自分が何を知りたいのか明確ではない」状態のユーザーが行う情報探索のことです。

クックパッドで例えると「何を作りたいかは決まっていないが、冷蔵庫の中で余っている豚ロース肉が使える料理を探している」という状態です。

全数探索

全数探索とは「あらゆる情報を手に入れておきたい」状態のユーザーが行う情報探索です。

クックパッドで例えると「大学のレポートにまとめるために、全国の豚の生姜焼きのレシピを手に入れたい」という状態です。

再検索

再検索とは「一度手に入れた情報を再び参照したい」状態のユーザーが行う検索行動です。(一度情報を手に入れていますので、「探索」ではなく「検索」になります。)

クックパッドで例えると「この間つくった豚の生姜焼きのレシピがとても良かったので、もう一度見たい」という状態です。

コンテンツを再分類しよう

4つの情報ニーズを知った後で行うべきは「コンテンツの再分類」です。

「サイトやアプリの情報設計がカオスになってしまう問題」を解決するためには、既存のやみくもに追加され続けたコンテンツたちを、改めて根気よく書き出し「4つの情報ニーズ」を元に分類することが重要です。

4つの情報ニーズを元に分類することで、「このコンテンツって、どんなユーザーのために用意したものだったんだっけ?」と立ち返ることができるようになります。

また、コンテンツの施作を考えるプロダクトマネージャーやプロダクトオーナーの間でも、このフレームワークを常に頭に入れて話し合うことで、ただやみくもにコンテンツが追加され続けることを防ぐ役割も果たします。

従来であれば「ただコンテンツが足され続けるだけ」だった状態を、「この情報ニーズを満たせていないから、こんなコンテンツを追加しよう」「この情報ニーズを満たすためのコンテンツが多すぎる。整理しなければならない。」という方向に向けることができるのです。

コンテンツを再分類すれば、小規模、中規模なサイトやアプリの場合は、それをそのままナビゲーション設計として活用することもできるでしょう。

大規模なサイトやアプリの場合は、再分類した中でさらにグルーピングを行うことによって、秩序を保ちながら情報アーキテクチャを設計することができるようになります。

このように、ただ表面的なUIを見て議論するのではなく、根本的なユーザーの情報ニーズを元に整理することによって、混沌とした情報アーキテクチャを修正することができるようになるのです。

まとめ

ナビゲーション設計は、その性質上、どうしても抽象度が高く議論もぼんやりしたものになりがちです。

しかし、より良いUIデザインやナビゲーション設計を行うためには、根本の情報アーキテクチャから見直す必要があるのではないでしょうか。

わたしも、今回ご紹介した「4つの情報ニーズ」を知ったことがきっかけで、実際の会社の業務の中でナビゲーション設計に活かすことができました。

もし興味のある方は、ぜひこの分野のバイブルである「情報アーキテクチャ(しろくま本)」を読んでみてくださいね。

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