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小手先のテクニックではない、「生産性」の本質を知ろう(「生産性」/ 伊賀泰代 )

以前から気になっていた「生産性」という本を読みました。

この本の著者は、マッキンゼーで長年に渡り採用マネージャーを務めた伊賀泰代さんです。

伊賀泰代さんの前著「採用基準」では、マッキンゼーの採用基準を通して、これからの日本に必要となる「リーダーシップ」の本質について語られていました。

そして今作は「生産性」というわけです。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

ところで、生産性という言葉そのものは様々な現場で使われていることと思いますが、あなたは「生産性」についてどういったものだと思っていますか?

わたし自身は「生産性?何でも自動化、システム化しましょうね!ってことでしょ?」と意識できているような気になっていました。

しかし、実際にこの本を読んでみると、いかに自分が生産性の本質について理解していないのかが分かり、反省するきっかけになりました。

そこで今回は「生産性」の中で、特に印象に残った3つのポイントについてご紹介したいと思います。

生産性とは?

さて、本題に入る前に「生産性」という言葉の意味について認識を合わせておきたいと思います。

生産性とは、以下の式で表すことができるものです。

生産性 = アウトプット ÷ かかった時間

つまり「その仕事をこなすために、どれくらいの時間をかけたか?」というものになります。

いくら素晴らしいアウトプットが出せたとしても、それを平均の何倍もの時間をかけて仕上げたのだとすれば、それは「生産性が低い」ということになるのです。

反対に平均の3分の1の時間で仕上がられたのなら、「生産性が高い」ということになります。

1.生産性を上げるためには評価基準の転換が必要

それでは本題に入ります。

まず最初に印象に残ったのは、生産性を上げるためには「評価基準の転換」が必要になるということでした。

評価基準の転換とは、アウトプットの「量」ではなく「質」で評価するということです。

なぜ「量」ではなく「質」で評価することが重要なのでしょうか?

もしもアウトプットの量だけを見て評価しようとすると、徹夜してでも仕事を仕上げてくることが肯定されてしまうからです。

例えば、部下が徹夜をして仕上げてきた仕事に対して、仮に上司が「よく頑張ったね!」と褒めたとしましょう。

この場合、上司にそのつもりがなくとも、部下の方はアウトプットそのものに加えて、「徹夜してまで頑張ったこと」という姿勢も含めて評価してもらったのだと思うようになるのです。

こうした考え方が浸透してしまうと、長時間労働が正義であるという雰囲気が広がってしまい、やがてチームは疲弊してしまうことになります。

そこで、先程の「量」ではなく「質」で評価するという考え方を持ち込むとどうなるでしょう?

もし部下が徹夜で仕上げてきたとすれば、アウトプットに対してまず褒めた後で、「今回はこれだけ時間がかかってしまったけど、次は工夫して半分くらいの時間でできるようにしよう」と指導するのです。

これにより、ただがむしゃらに頑張るだけでなく「どうすれば生産性を高めることができるだろうか?」という方向性に持っていくことができます。

この評価基準の転換ができていない職場は、非常に多いのではないでしょうか。

2.業務の中でスキルアップする仕組みを設計しよう

次に印象に残ったのは、「業務の中でスキルアップする仕組みを設計する」ということです。

このブログを読んでくださっている方の中には、「スキルアップのための時間は業務時間外で取るべき」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

実際に、退勤後や土日の時間をスキルアップに当てているという人は多いと思いますし、そうした人は「あの人は努力家で偉い!」と評価されがちです。

しかし、スキルアップの時間を業務時間外に依存してしまうと、仕事以外のことに時間を割けなくなってしまいます。

それこそ、家事や育児・地域へのコミュニティ活動にも一切かかわらないという昭和型の仕事人間のようになってしまうのです。

そのために、業務の中でうまくスキルアップするための仕組みを作らなければなりません。

例えば、業務時間のうちの80%を実務に、残りの20%を読書など自分への投資時間として割り当てるといった方法が考えられます。

この方法を取った場合、例えばエンジニアなら、80%の時間で実務を終わらせて、残りの20%で新しい技術の勉強をするといった運用になるでしょう。

特にITの世界は、技術のトレンドも移り変わりが激しいものです。

ひょっとすると「100%を業務時間に使うべきだ!勝手に勉強時間を作るなんてけしからん!」という意見もあるかもしれませんね。

しかし、生産性という観点から見るとどうでしょうか?

毎日目の前の作業だけに追われていると、慣れた知識・技術ばかりを使うことになってしまいます。

すると気がつけば、最新の技術が全くキャッチアップできず、結果として生産性の低いエンジニアになってしまった…ということになりかねません。

長い目でみれば、自分への投資の時間を「業務時間内」で取ることによって、生産性を向上させることができるのです。

3.ブランク資料から学ぶ生産性の高い仕事のしかた

最後に印象に残ったのは、「ブランク資料」というテクニックです。

これは本の後半のほうで紹介されていた、マッキンゼー流の資料作成術になります。

ブランク資料とは、まず資料の目次だけを完成させ、初期段階でアウトプットイメージを共有するために使うというものです。

わたしも経験があるのですが、社会人になりたての頃などは特に、資料を作るときに無駄なところに時間をかけがちです。

例えば、手当たり次第に必要そうな情報を集めたり、文字やグラフなど資料の体裁にこだわりすぎてしまったり…。

しかしながら、こうした作業は本質的ではなく付加価値の低い作業なのです。

本当に大切なのは「この資料によって意思決定ができようになるか」ということです。

資料を作っても、けっきょく必要な検討事項や分析が網羅されていなかったり、そもそもの目的からずれてしまっていては意味がないのです。

そこで、先に目次だけを完成させた「ブランク資料」を見せ、「ここに書いてある内容が網羅されていれば、意思決定できますよね?」と確認することで、アウトプットイメージを固めてから作業に入ることができます。

この「ブランク資料」の考え方は、マッキンゼーに限らずあらゆる場面で使えるはずです。

まとめ

冒頭にも書いたように、わたしは「生産性」といえば自動化やシステム化のことだと漠然としか考えていませんでした。

しかし、自動化やシステム化はあくまでも表面的なテクニックにすぎません。

  • 評価基準を「量」から「質」に転換する
  • 業務時間内でも、スキルアップできるための仕組みをつくる
  • アウトプットイメージを共有してから作業に入る

こうした生産性を上げるために重要な考え方を、今回読んだ「生産性」という本から得ることができました。

もし興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの