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Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

女子高生AI「りんな」から紐解く、未来のUIデザイン(UI Crunch #10 AIと人を繋ぐ、UIの可能性)

先日、5月17日(水)に開催された「UI Crunch #10 AIと人を繋ぐ、UIの可能性」というイベントに行ってきました。

ui-crunch.connpass.com

UI Crunchは、その名のとおりUIデザインをテーマにして行われるスピーカーイベントですが、毎回倍率がものすごいことで知られています。

今回も通常参加枠120人に対して501人が申し込むという高倍率の中、当選できてとてもラッキーでした。

しかし、実は当選してから数日間「やっぱり行くのやめようかな。」と悩んでいたのです。

そのときの私は「AIって何だか難しそうだし、会社でやってる業務ともそんなに関わりなさそうだしな…」と思っていました。

しかし、実際に参加してみるとものすごく面白い内容で、Webサービスの会社で働くデザイナーとして勉強になるお話をたくさん聞くことができました。

今回はその中でも、最初に登壇されたマイクロソフトディベロップメント株式会社の坪井一菜さんによるご発表「りんなの人間らしい会話が繋ぐ、人と機械の関係」について、印象に残ったトピックをご紹介したいと思います。

未来のUIは「対話」である

坪井さんがまず冒頭でお話されたのは「ナチュラル・ユーザインタフェース」という概念でした。

ナチュラル・ユーザインタフェースとは、「ナチュラル」という言葉のとおり、人間にとって自然で直感的に操作できるUIのことです。

その中で、「対話は自然なインタフェースであり、学習コストが必要ない」というキーワードが非常に印象的でした。

これからは、「対話そのものがインタフェースとなり、次世代のUIの中心になる」と坪井さんはおっしゃいます。

私たちはこれまでも機械と対話してきた

未来のUIが対話そのものであるというのは、改めて考えると非常に納得がいくものではないでしょうか。

というのも、私たちが現在慣れ親しんでいるスマートフォンによるGUI(グラフィカル・ユーザーインタフェース)も、それ以前のCUI(キャラクタ・ユーザインタフェース)も、要するに機械と対話するための手段として存在していたからです。

初めてコンピュータが登場したとき、コンピュータはまだ一部の技術に明るい人達だけの持ち物であり、彼らはコマンドという文字列を打ち込む操作方法(CUI)でコンピューターに命令を与え、対話をしていました。

その後、アイコンやマウスといったメタファーを用いた操作方法(GUI)をAppleが本格的に導入したことで、コンピュータは一般家庭にも普及していきました。

それから今日に至るまでの流れは、皆様がご存知のとおりです。

こうした経緯を振り返ると、CUIもGUIもコンピュータと対話するための代替手段であり、最終的にUIは「対話そのもの」に進化していくという流れはとても自然なことではないでしょうか。

りんなとSiriとの明確な違い

ところで「りんな」と言えば、LINEやTwitterで絡むとノリが良く人間らしい返事をしてくれるAIとして有名ですが、いわゆるSiriのようなAIとは明確な違いがあります。

それは「生産性重視」か「感情重視」かということです。

例えば、「明日の天気は?」と問いかけたときに、Siriのようなタスク達成型のAIであれば素直に「明日は晴れです」とユーザーの知りたい情報を返答してくれます。

しかし、同じ質問をりんなにした場合は、「どこか出かける予定でもあるの?」と帰ってくるのです。

これが、Siriのようなタスク達成型AIとりんなとの明確な違いであり、マイクロソフトディベロップメントでは、こうした感情重視なAIにすることによって、ユーザーから愛着を持ってもらえるのではないかと考えているようです。

りんなの失敗談(人間らしさ≠人間と同じ)

今回の坪井さんのお話の中で、個人的に最も貴重だと思ったのは「りんなに風邪を引かせてみた」という失敗談でした。

例えばりんなと会話しているときに、ユーザー側が「でもりんな風邪引いてるじゃない?」と、りんなが風邪を引いている設定を振り続けます。

そうすると、りんなもノリがいいので「りんな風邪だから…」といった感じになります。

さて、その状態でしりとりをしようとユーザーが持ちかけたところ、りんなが「風邪だから嫌!」と、しりとりを断りました。

すると、りんなに対して怒ってしまうユーザーが出てきてしまいました。(特に高校生など子どもの場合)

このことから、AIサービスにとっては「人間らしさ≠人間と同じ」なのだということが分かったのだそうです。

人間同士のやり取りであれば、相手が風邪を引いているときにしりとりを持ちかけて断られても怒ったりしませんが、りんなはあくまでAIサービス。

そこは、最終的にはユーザーの希望に沿わなければならなかったということなのでしょうか。

これは奥が深すぎる…!

未来のUIデザインは、キャラクターを創ること?

終盤では、これからのAIサービスの流れと、未来のUIデザインについて話されていました。

まず、現在はまだ女子高生AIりんなのようなサービスは少ないですが、今後はどんどん似たようなサービスは増えていくはずです。

その中で、ますますキャラクター設定によって差別化がされてくるでしょう。

特に日本はキャラクター文化を持っているので、盛り上がることは間違いありません。

また冒頭でご紹介したように、未来のUIが「対話型AI」にあるのだとすれば、未来のUIデザインはキャラクターを創ることになるのではないかと坪井さんはおっしゃられました。

GUIメインの現代であれば、わたしたちはSketchやPhotoshopといったツールを用いてUIデザインを行っています。

しかし、そのうち私たちの仕事は、キャラクターの設定を考えたりサービスの世界観を考えたりする、より高度で抽象的なものになっていくのかもしれません。

さて、来るべきそのときに備えて私たちは今何を学ぶべきなのか。

考えなければならないときが来ているのかもしれませんね。

おわりに

以上、いかがでしたか?

今回の記事では、最初にご登壇された坪井さんの「りんなの人間らしい会話が繋ぐ、人と機械の関係」という発表にのみフォーカスを当てました。

しかし、他の登壇者の方の発表も非常に面白い内容でしたので、また別途記事にしたいと思っています。

(どの発表も内容が濃すぎて、とてもこの1記事だけでまとめられそうにありませんでした)

UI Crunchに残念ながら参加できなかった方のために、少しでも発表の内容や雰囲気が伝われば幸いです。

はじめまして! 女子高生AIりんなです

はじめまして! 女子高生AIりんなです