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Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

デザイナーがAIサービスと上手に付き合っていく方法

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こんにちは、Webデザイナーのtamu(@tamusan100)です。

TechCrunchで紹介されていた、AIを活用したロゴデザインサービスがとても面白かったのでご紹介したいと思います。

上記の記事で紹介されている「Logojoy」というWebサービスは、AIを活用したロゴデザインのサービスです。

ロゴにしたいタイトルと簡単なコピー。それに、マークとなるモチーフを選択するだけで、質の高いロゴデザインをいくつも提示してくれます。

おそらく、この記事を読んだデザイナーの中には「商売あがったりだ」と考える人もいれば「これは役に立ちそうだ」と考える人もいるでしょう。

わたしは、実際にこうしたAIを活用したデザインサービスが活用されていくことで、むしろデザイナーの生産性はさらに向上すると考えています。

今回は、その理由を通して「デザイナーがAIサービスと上手に付き合っていく方法」についてお話したいと思います。

一見、質の高いロゴが作れるけれど…?

ところで、冒頭で紹介したLogojoyのようなサービスを利用すれば、たしかに「それっぽいロゴ」は作ることができます。

しかし、それが「デザイン計画として正しいか」ということは、やはりデザインの知識がなければ判断できないのではないでしょうか。

ビジュアルだけを見て、「かっこいいからこれに決めた!」とロゴを決めてしまえば、商品やサービスと合致しておらず、かえってユーザーに「これって何の商品(サービス)?」と混乱を与えてしまうことにもなりかねません。

それを防ぐためにも、ロゴデザインとは、様々なコンテキストに沿って行わなければならないのあです。

例えば、その商品やサービスのターゲットは誰なのか、どんな媒体で使われるのか、今後どうやって事業を展開していくのか…。

こうした、様々なマーケティング的要素も加味しつつ、ビジュアルに落とし込まなければなりません。

正しいロゴが選べなければどうなる?

もしも、そうしたコンテキストを無視して、単純に見た目の好みだけでロゴを選んでしまうと、どうなるのでしょうか?

例えば、純和風なお店に「ただかっこいいから」と適当に選ばれたサイケデリックなロゴがあったとしましょう。

そんなロゴを使えば、「ここって何のお店?」と、かえってお客さんを混乱させ、おしゃれなロゴが悪影響を与えることになるでしょう。

もちろん、そうしたブランディングを意図しているのならアリですが。(サイケデリックな純和風のお店…)

デザイナーはアートディレクションに専念する

話をもとに戻しましょう。

前述したように、ロゴデザインは、単にそれっぽいビジュアルを作れば良いのではなく、その商品やサービスにおけるコンテキストに沿って行われるものなのです。

よって、AIを活用したデザインサービスを使えば、誰でも「作る」ことはできても、「正しいデザインを考えて選び取る」ことは難しいのです。

そこで、デザイナーの役目となります。

デザイナーは、こうしたAIを活用したデザインサービスに「作る」という作業を委任し、自らは「コンテキストに沿った正しいデザインを選び取る」という作業に専念すればよいのです。

そうすれば、簡単なロゴデザインであれば作業時間を大幅に短縮し、生産性を向上させることができます。

つまり、企業におけるアートディレクターのような立場になるということです。

リソースが少ない企業では絶大な効果

また、社内にリソースの少ないスタートアップ企業にとっては、こうしたAIを活用したデザインサービスにデザイン作業を委任していくことで、他の優先度の高い仕事に集中することができます。

また、社内に一人か二人しかデザイナーがいない企業であれば、複数の事業をまたいでデザインしなければならないことも少なくありません。

そういった場合でも、デザイナーはAIに正しいデザインをさせるための指針を与え、作業を委任することで、商品やサービスの全体的なクオリティを見ることができるようになります。

アルゴリズミック・デザインについて

こうして記事を読まれているデザイナーさんの中には、「AIを活用して自分の手でデザイン案を作らないことに抵抗がある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

たしかに、その気持ちはよく分かります。

しかし、既に建築の分野においては、AIを活用したサービスとは少し違いますが、既にコンピュータのアルゴリズムを活用してデザインが行われています。

それは、東京都市大学でも講義を行っている、建築家の渡辺誠(ワタナベ マコト)氏です。

渡辺誠(建築家) - Wikipedia

彼は、アルゴリズミック・デザインという概念を提唱しており、樹木の成長過程など、自然の仕組みをアルゴリズムに適用し、実際に建築を行っています。

従来、製図の道具 (狭義の CAD) や、人手による設計の補助としての構造計算やエネルギーシミュレーションという形でコンピュータは建築設計を支えてきた。

渡辺誠はその役割をより拡大し、「人間の脳の拡張」という位置づけでコンピュータ・プログラムを設計に用いている。

空間的制約・構造・日照・意匠的な特徴などあらゆる条件を満たす形態を創造する行為の一部を、コンピュータに行わせるのである。

条件を与え、それを満たす形態を、ランダム要素もまじえて複数生成する。

そして、人間である設計者がその中からふさわしいと考えるものを選び取るという手法である。

- Wikipediaより引用

そのデザインはとても個性的で、代表的な作品である「青山製図専門学校」「新水俣駅」は有名です。

このように、既にコンピュータにデザインを任せてしまうという試みは実践されているのです。

デザイナーはAIと仲良くやっていける

AIが発達することで、簡単にWebサイトやロゴが生成できるようになってきて、「デザイナーは将来いらなくなるのでは?」と危惧する方がいらっしゃいますが、わたしはそうは思いません。

なぜなら、デザインとは「作る」ことが全てではなく、その半分は「考える」ことにあるからです。

PhotoshopやIllustratorが使えれば、それでデザイナーと言えるのでしょうか?

かんなやノコギリの使い方だけをひたすら覚えても大工の棟梁にはなれないように、ただ「作る」というオペレーションだけをやっていても、デザイナーにはなれません。

もちろん、レベルが低く「ただ作るだけ」という制作会社は潰れることになるかもしれませんが…。

そんなわけで、デザイナーはこうしたAIを活用したデザインサービスを脅威とみなすのではなく、むしろ仲良くやっていくべきではないでしょうか。

彼ら(AI)が得意なことはどんどん委任して、本来のデザイナーとしての知的生産に勤しむのです。

そしてこれが、デザイナーがAIサービスと上手に付き合っていく方法なのです。

アルゴリズミック・デザイン―建築・都市の新しい設計手法

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