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デザイナーにとってのリベラルアーツの重要性

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オーディオブックを聴く習慣を始めてからしばらくして、リベラルアーツの重要性について考えるようになりました。

リベラルアーツを日本語で「教養」と呼ぶことが多いのですが、「教養」では、どこかフワッとしていてとらえどころがありません。

本来、リベラルアーツは「人々を自由にするための学問」として教えられていたそうです。

わたしは、そんなリベラルアーツについて、デザイナーにとっても役立つ学問だと考えています。

そこで今回は、そもそもリベラルアーツとは何なのか、どうして役に立つのかといったことについて書いていきたいと思います。

リベラルアーツとは?

リベラルアーツとは、前述したように「人々を自由にするための学問」として教えられていました。

リベラルアーツは、下記の7つの分野から成り立っています。

  • 文法学
  • 論理学
  • 修辞学
  • 幾何学
  • 算術
  • 天文学
  • 音楽

これらの分野について、がっつり学んだことがある…という方は少ないのではないでしょうか。

こうした分野の科目は、大学では「一般教養科目」と言われ、大学生にとっては「単位のためだけに適当に履修するもの」と認識されていることも少なくありません。

かくいうわたしも、大学では芸術・デザイン系の学部でしたので、「早くデザインについて勉強したい!一般教養科目なんて高校みたいだしつまらない」と思って、適当に履修してしまっていました。

しかし、池上彰のリベラルアーツについて語ったオーディオブックを聴いたことがきっかけで、リベラルアーツについての考えを改めるようになりました。

世界を知ることで、しがらみから自由になれる

上記のオーディオブックでは、「私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」という切り口で、次のようなトピックについて学ぶことができます。

第一章 宗教―唯一絶対の神はどこから生まれたのか?
第二章 宇宙―ヒッグス粒子が解き明かす私たちの起源
第三章 人類の旅路―私たちは突然変異から生まれた
第四章 人間と病気―世界を震撼させたウイルスの正体
第五章 経済学―歴史を変えた四つの理論とは?
第六章 歴史―過去はたえず書き換えられる
第七章 日本と日本人―いつ、どのようにして生まれたのか?

こうしたオーディオブックを聴いて、わたしは、どうしてリベラルアーツが「人々を自由にするための学問」なのかを少しだけ理解することができました。

なぜなら、「世界の成り立ちを知ることで、自分の考えや存在を相対化することができるから」です。

宗教や科学、歴史といった分野の知識は、普通に生きていれば日常生活の中で使うことはありませんが、それらは確かに、自分を取り巻く法則や価値観を構成しているのです。

リベラルアーツを学ぶことで、こうした世界を構成する様々な法則や価値観に触れることで、自分の考えだけに固執することが無くなります。

以前ならば、生きていて周りの人と自分との価値観が異なると感じたときに、「あれ、自分って間違ってるのかな?」と不安に思うことがありましたが、今では「世の中色んな考えがあるよね」と楽に生きられるようにもなりました。

こうした考え方は、リベラルアーツを学んで世の中を取り巻く色々なことを知って、自分を相対化できたからこそ生み出すことができたのではないかと思います。

デザイナーにとってのリベラルアーツの重要性

リベラルアーツは、デザイナーにとっても役に立つ学問だと思います。

リベラルアーツを学ぶ利点として、「物事をタコツボ型に狭く深く考えるのではなく、全ての分野を体系立てて、かつ横断的に考えることができるようになる」というのがあります。

例えば、福沢諭吉の「学問のススメ」には、次のような記述があります。

知識見聞を広めるためには、他人の意見を聞き、自らの考えを深め、本を読まなければならない。

なので、学問を行うためには文字を知っている必要があるが、昔の人が考えたように、文字を知ることそのものが学問であるというのは大きな間違いである。

文字を知ることは学問を行うための道具であり、家を建てるのに必要なトンカチやノコギリと同じだ。

それらは家を建てるためには必要不可欠なものだが、それだけを知って家を建てようという者は大工とは言えない。

同様に、文字を知っていても物事の道理を知らない者は学問を志す者とは言えないのだ。

この記述は、「学問を学ぶこと=文字を学ぶこと」という風潮に対して、「文字は、あくまで学問を行うための道具に過ぎないから、それだけで学問をしていることにはならないんだよ」と提言しているものです。

これは、昨今のWebデザイナーについても言えることではないでしょうか。

本来、デザインを学ぶためには、構成や配色、素材といった様々な理論を知った上で、道具を使ってモノを作り、批評し合うことが必要です。

しかし、近年では「Webデザインを学ぶ=道具を学ぶ」という風に置き換えられている気がします。

例えば、Webデザインを学ぶカリキュラムでは、次の科目が設けられています。

  • Photoshop
  • Illustrator
  • HTML / CSS
  • JavaScript
  • PHP

これらは、あくまでソフトウェアやプログラミング言語であって、デザインそのものの勉強ではありません。

福沢諭吉が言うところの、

文字を知ることは学問を行うための道具であり、家を建てるのに必要なトンカチやノコギリと同じだ。

それらは家を建てるためには必要不可欠なものだが、それだけを知って家を建てようという者は大工とは言えない。

同様に、文字を知っていても物事の道理を知らない者は学問を志す者とは言えないのだ。

という事と同じではないでしょうか。

つまり、道具の使い方だけを知っているだけの者は、デザイナーとは言えないのかもしれません。

関係が無さそうな物事をデザインに結びつける力

かくいうわたしも、以前はPhotoshopなどの道具の使い方ばかりを学ぼうとしていて、肝心なデザインに関する理論面の学習をおざなりにしていました。

その結果、「それっぽいもの」は作れるようになりましたが、イチから考えて作るということがいつまでもできませんでした。

やはり、道具の使い方だけを学んでいたのが原因なのでしょう。

ですが、わたしがこうした考えに気付かされたのも、リベラルアーツの重要性に気が付き、福沢諭吉の「学問のススメ」から、デザインを横断的に結びつけて考えられたからだと思っています。

リベラルアーツについて学ぼうとしなければ、福沢諭吉の「学問のススメ」なんて一生読むことは無かったでしょうし、いつまでもデザインを学ぶ本質について気づかずに、ひたすら道具の使い方だけを追っていたかもしれません。

このように、デザイナーにとっても、いっけん関係のない物事からデザインに結びつけて考える能力が身につくといった点で、リベラルアーツは役に立つのです。

リベラルアーツに触れてみよう

以上、今回はリベラルアーツについて書いてみましたが、いかがでしたか?

あなたが、もしも「ちょっとリベラルアーツに触れてみたくなったな…」と思われたのでしたら、まずは下記の本から試してみるのがおすすめです。

おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書 431)

おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書 431)

 
リベラルアーツの学び方 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

リベラルアーツの学び方 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

 

まずは池上彰の本でリベラルアーツの世界観に触れ、その後で瀬木比呂志の「リベラルアーツの学び方」で、「リベラルアーツの学び方と歩き方」について知り、後は興味の向くままにいろんな本を読んでみるというのが一番おもしろいと思います。

上記の本については、オーディオブック版も発売されていますので、通勤途中や家事をしながら耳で聴きたいといった方は、そちらもおすすめです。

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