Tortoise Shell

Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

今だからこそ考え直したい「アクセシビリティの本質」

アクセシビリティについて、Automagic(Web関係のデザインやテクノロジーについて取り上げているPodcast)で話されていたことが印象的だった。

Webデザイナーにとって「アクセシビリティ」と聞くと、どのようなイメージを持つだろうか。

おそらく、テキスト読み上げ機能に対応できるようにしようとか、分かりやすい構造にしようとか、テクニカルなイメージが強いのではないだろうか。

しかし、上記のPodcastを聞いて、アクセシビリティという言葉の本質について個人的に考え直すきっかけを与えられた。

例えば、昨今のレスポンシブ対応のWebサイト。

ユーザーのWebを閲覧する環境が多様化したことによって、どの端末からアクセスされても見やすいサイトを心がけましょう…という意味で、アクセシビリティという言葉が使われることもある。

だが結局のところ、スマホ対応と言いつつも、要するにレスポンシブWebサイトというのは、PCベースのサイトを無理やり引き伸ばしたり縮めたりしているだけのものだ。

開発側としては、レスポンシブ対応させることでソースを一括管理できるというメリットがあるのだけれど、ユーザーからしたらどうだろうか。

例えばニュースサイトなどの記事ページを考えたときに、元々PCをベースとして構成された長い文章(コンテンツ)を、ユーザーはたまたまスマホから見たとき、全て読んでくれるだろうか。

もっと言えば、スマホ向けのニュースサイトの記事をウェアラブルデバイスからアクセスしたユーザーは、全て読んでくれるだろうか。

AppleWatchから見ている人が、わざわざ手首を覗き込んで?

アクセシビリティという単語を考えたときに、どうしても技術的な小手先のテクニックばかりが強調されてしまうのは仕方のない側面もある。

開発者サイドからすれば、あまりにもユーザーがコンテンツにアクセスする環境が急激に多様化するものだから、後手でも迅速に対応するためには手元の技術でなんとかしのぐしかない。

アクセシビリティという言葉について、日常の仕事から離れて俯瞰して考え直す時間は少ない。

しかし、ここで改めてアクセシビリティという言葉の本質を考えるならば、アクセシビリティは技術ではなく、企画の段階から考慮されていることが望ましい。

理想を言えば、1つのコンテンツを無理やり引き延ばしたり縮めたりして使い回すのではなく、デバイス毎に最適化したコンテンツを提供することが良いのだろう。

先ほどのニュースサイトの例で言えば、PCから見るユーザーに対しては詳しく内容を表示し、AppleWatchから見るユーザーには、Twitterの1ツイートくらいの文章量で要点だけを伝えるようにするのが望ましい。

そして、こういったアクセシビリティの本質について考えたとき、現在のデザイナーが「デザインするメディアの種類」で自らをカテゴライズすることは間違っているのかもしれないと思い至る。

WebならWebデザイナー、グラフィックならグラフィックデザイナーというが、アクセシビリティの観点から考えると分けないほうがいい。

一人のデザイナーが、デザインするコンテンツについて、WebならWebならではの、紙なら紙ならでは…といった見せ方を考えるべきではないだろうか。

こんなことは、理想論に過ぎないのかもしれない。

世の中には、デザイナーが圧倒的に足りていないのだ。

今回考えたアクセシビリティの本質について、すぐにどうこうする…ということはできないけれど、教訓はある。

「何事も本質を見抜き、その中で本当にやるべき仕事に取り組む事がバリューを生み出す。」ということだ。

ユーザーがあなたを待っている。

Automagicの中で紹介されていたアクセシビリティについての本。気になる。

デザイニングWebアクセシビリティ - アクセシブルな設計やコンテンツ制作のアプローチ

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