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Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

2015年で一番面白かった本『融けるデザイン』について紹介します。

『融けるデザイン』を読んだ。

この本の中では、「自己帰属感」というテーマを切り口にして、UIやUX、IoT(モノのインターネット)の本質について書かれている。

ただのスタイリングの話にとどまらない一冊

既存のUI・UX関連の書籍が、いわゆる見た目(スタイリング)などの表面的な内容にとどまっている中、「融けるデザイン」では、

  • そもそもインタフェースってソフトウェアの話だけじゃないよね?
  • 表面的なスタイリングを真似しても良いUIにはならない
  • iPhoneはなぜ操作していて気持ちいいのか
  • IoTってつまりどういうことなの?

などなど、UIを学ぶものにとっては、日頃からふんわりと疑問に感じていたような内容をバシッと言語化してくれているので読んでいて気持ちが良い。

思わず、「うわ、なるほど!そういうことか!」と声に出してしまう瞬間が何回あっただろうか。 

第3章は特に必見!

特に、第3章「情報の身体化─透明性から自己帰属感へ」の中の、「手とカーソル」についての記述には感動を覚えた。

わたし自身が、これまでいかに「優れたUI」というものについて、表面的で浅い理解しかしていなかったのかということを思い知らされた。

簡単に言ってしまえば、わたしたちが手をインターフェースとして道具を使おうとするとき、手の存在は意識から消えている。

しかし、インターフェースである手は、道具を使おうとする際に確実に適切な形に変化する。

ボールを掴もうとするときは指で包み込むような手になり、ラケットを持とうとするときは握る形になる。

優れたUIとは、この感覚に近いというものだ。

優れたUIの例は身近にある

思い返してみると、確かに優れたUIとして例に出されるiPhoneの画面を操作しているとき、いわゆるUIの要素である、画面内のナビゲーションやオブジェクトのアニメーションを意識することはほとんどない。

まるで現実にある道具を触っているかのごとく自然に操作できているので、自然すぎてUIを意識することすらないのだ。

逆に、悪いUIであっても、わたしたちが「悪いUI」と意識するのは、自然に操作できないシーンに出会ったとき、初めてそうであると気がつくのだ。

なぜなら、道具を自然に使えている限り、道具そのものについてわたしたちは意識しないからである。

ちょうど、切れ味が悪いことに気づいて初めてハサミの刃に意識を向けたり、肉がへばりついて初めてフライパンに意識を向けるように。

そう、わたしたちは、常に道具によってもたらされる「結果」に注意を向けているのだ。 

このことに改めて気が付き、『融けるデザイン』の中で詳しく紹介されている「自己帰属感」というキーワードを手に入れることができれば、収穫はかなり大きい。

ジャンルを問わず、デザイナーならば必読の一冊だと言える。

おわりに

2015年も終わりに近づいているが、正直ここに来て「2015年で一番面白い本だった」と言わざるを得ない。

ぜひチェックしてみてほしい。

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

 

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