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Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

デザインにおける「コンセプト」ってどういう意味?

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photo by Calsidyrose

学生時代、作品を制作するときにやたら「コンセプトを立てろ」「コンセプトは重要だ」という言葉を教授陣から聞きました。

当時のわたしは、コンセプトという言葉の意味がどうにもしっかり腹落ちしませんでした。

腹落ちしないというのは、辞書的な意味は分かるけど、「つまりどういうこと?」と自分の言葉で納得していないという状態です。

コンセプトの意味

ちなみに、Googleでコンセプトと検索すると下記のように表示されました。

コンセプト
1.概念
2.企画・広告などで全体を貫く基本的な観点・考え方

どうも漠然としている気がしますよね。

そもそもコンセプトという言葉自体が外来語なので、意味の解釈に相違があって当然といえば当然かもしれません。

わたしの考えるコンセプトの意味

さて、それから月日が経ち、最近やっと自分のなかで「コンセプト」という言葉の意味を腹落ちさせることができたという実感を得ることができました

わたしが自分の中で定義している「コンセプト」の意味とは、

「デザインの指針とするための基本的な概念・考え方」ということです。

特に、「指針」という言葉がとてもしっくり来ています。

「指針」という言葉は、磁石板や時計についている針のことを直接的には指しますが、「物事をすすめる上で頼りになるもの」という意味も内包しています。

つまり、コンセプトはデザインを進める上での重要な方針となるわけです。

「シンプル」はコンセプトたりえるか

学生の頃は、わたしも含めて周りも「コンセプト」という言葉の意味をよく考えずに使っていたように思えてなりません。

その中でもよく聞いたのが、『コンセプトは「シンプル」です。』という言葉。

大学の同級生たちも、「シンプルなデザイン」「シンプルな○○」…という言い方をしている人が非常に多かった気がします。

当時は、おぼろげながら「コンセプトがシンプルってなんやねん…」と思いつつも、上手く言語化できず、違和感を持っていたものの上手く言い表せなかったので黙殺していました。

しかし、今となってはその違和感の正体も見えてきました。

それは、シンプルという言葉が、デザインの指針としてはあまりにも漠然としすぎているからです。

わたしは、シンプルを指針にしてデザインしても、できあがる作品の可能性には幅がありすぎるのではないかと思います。

わたしが思うコンセプトとは、もっと確実性を持っていて、個人にとって極めて限定的な概念なのです。

コンセプトは実体と確実性を持っている 

例えば、何かを制作する時に「コンセプトはAだ」とした場合、できあがった作品を見て「これは完全にAでは無いな…」とボツにしてしまうような実態と確実性をもった概念なのです。

ゲームで考えてみましょう。

例えば、あるゲームのコンセプトを考えたときに、「おじいちゃんと子どもがリビングで仲良く遊べるボードゲーム」と設定したとします。

そうすると、もしおじいちゃんがゲームを面白いと言ったとしても、子どもにつまらないと言われてしまえばその作品は失敗なのです。

なぜなら、コンセプトに反しているか、あるいはコンセプトを体現できていないからです。

このように、コンセプトとは実体と確実性を持っているべきデザインの重要な指針でなければならないのです。

就活で面接官に正しく説明できますか?

就職活動のとき、わたしは最低でも1回くらいは面接官の方から「この作品のコンセプトは何でしょうか?」と聞かれたと思います。

そのときは何と答えたのか、今となっては全く思い出せません。

しかし、どうしてデザイナーの採用において、面接官が作品のコンセプトを尋ねることが多いのかは今になって分かるようになりました。

それは、コンセプトを聞かなければ、作品の正しい評価ができないからです。

一見して何となく美しいビジュアルの作品だったとしても、コンセプトがフワッとしていて正しく説明できなかったり、またはそのコンセプトと作品の間に一貫性が無かったりすれば、面接官はこう考えます。

「ああ…この子は何となくでデザインしてるんだな」と。

社会に出てからこそ重要になるコンセプト

特に、社会に出てからは、ビジネスの現場で学生時代のようなフンワリとしたコンセプト設計では通用しないと実感するようになりました。

社内関係者やクライアントに自分のデザインを説明する際、「コンセプトはシンプルな感じです」で伝わると思いますか?

ビジネスの現場では、独りよがりなデザインは歓迎されません。

学生時代は好き勝手なデザインをしていても問題ありませんでしたが、ビジネスとしてデザインを行うのであれば、様々な利害関係者と調整を行いながらデザインを進めていく必要性が出てきます。

例えばプロダクトデザインであれば、単純にデザインだけではなく、クライアントや社内関係者へのプレゼンテーションや、企画開発部のエンジニアとの綿密な打ち合わせを経てデザインが完成することになります。

そんな時に、コンセプトについてチーム内でしっかりとしたビジョンが共有できていなければ、チグハグな製品開発となってしまうことでしょう。

コンセプトは、その作品の指針を表す重要な概念なのです。

デザインを本格的に学ぶなら