Tortoise Shell

Webサービスの会社で働くデザイナーが、デザインやライフハックについてゆるく書き連ねるブログです。

phaさんの「ニートの歩き方」を読んだ

ちきりんさんが帯文を書いている「ニートの歩き方」という本がずいぶん前から気になっていたので、読むことにした。

著者のphaさんは、ニートといいつつもギークハウスを広めたりWebサービス作ったりしてて結構アクティブな方だ。

しかしながら、毎日忙しく残業している自分とは正反対の「ニートの歩き方」というこの本を読むことでひしひしと感じたことがある。

それは主に、「選択肢を多く持っておくこと」「自分の価値観に幅を持たせておく」ということに尽きる。

phaさんの主張は、無理して行きたくもない職場に毎日仕事をしに行って、それを定年までずっと続けなければならない。それが苦痛であるにもかかわらず、これが普通のことなんだと思い込んでいる人にとっては救いになるように思える。

「こんな生き方や方法論もアリなんだ」と普段の自分と正反対の価値観を持っていることは良いことだ。 

「無理して頑張らなくても構わない」ということになると、みんな怠惰になって何もしなくなって社会が崩壊してしまうとか言う人がいて、そういう人が怠惰な人を叱りつけたり脅したりするんだけど、くだらない。叱ったり脅したりしないと崩壊してしまうようなシステムはろくなものじゃないし、そんなんだったら別に滅んでもいいと思う。(文中より)

この本を読んで私は、学生時代に体験した「社会人の定義のゆらぎ」を思い返した。

学生のときには、社会人になった先輩や教授、会社説明会での人事担当者からの「学生と社会人は違う」「学生気分でいてはいけない」ということを言われ、いわゆる「社会人とは」という講釈を受けたことがあるだろう。

私は大学3回生の冬から就活を始めたが、なんとか順調に進んで5月の上旬には志望していた企業から内定を得ることができた。

それから2ヶ月に1回ほどその企業の内定者研修に参加していたが、そこはいわゆる私が想像していた「立派な社会人像」を体現していたように思う。

ビシッとスーツを着て、大きな声で叫ぶように朝礼を行い、時間に厳しく、プロ意識が求められていた。

私は圧倒され、居心地の悪さを感じた。

「自分はちゃんと社会人としてやっていけるんだろうか…」そんな不安を抱えながら大学4回生の夏を迎えたとき、たまたまとあるIT企業のインターンシップを見つけた。

内定保持でもOKとのことだったし、面接を受けたら合格したので1ヶ月半ほどインターンに行った。

その会社は私が内定をもらって研修に行っていた企業とは正反対だった。 

服装はジーパンにTシャツだったし、出社時間も超ルーズ、仕事中に音楽を聴きながら作業してもいいし、朝礼なんて無かった。同じだったのは、プロ意識を持っているという点だけだった。

結局、私は元々の内定先を蹴ってインターン先にそのまま就職することになる。

元々の内定先で、既にキャンプに行ったり歓迎会を開いていただいたりしていたので、内定辞退の電話をかけるときはとても緊張したのを覚えている。

さて、この「正反対の2つの環境」を体験した私は、とある結論にたどり着く。

立派な社会人なんてものは幻想にすぎない、と。

「立派な社会人」とは、「その会社にとって都合の良い人材」でしかないし、どうあるべきか、何を求められているのかは企業によって全て異なる。

このことを知らないまま新卒で入った会社で「お前は駄目なやつだ」「転職?お前なんか他の会社じゃ絶対にやっていけない」なんて言われたら、そりゃあ鬱にでもなるだろうし、新卒で入った会社の上司に言われた「社会人像」が、そのままその人の立派な社会人の価値観として刷り込まれる。

理不尽なことも受け入れ、会社の歯車となり、それが立派なことであると思い込まされる。

そして、やり場のない理不尽さへの不満を学生に対して「学生気分」という言葉でぶつけるのかもしれない。 

そんな、「価値観の幅」を拡げておくために、この本を読んでおくのは悪くないだろう。

この「ニートの歩き方」に限らず、自分自身のこと、周りの環境、人間関係、様々なトピックについて、もし現状で直面している状況に不満があったりモヤモヤを感じているときは、こうして読書をするのが一番良いのだろう。

Twitterで「マジで社畜だわ…」と残業を嘆いている社会人ほど、読んでみれば面白いかもしれない。

あなたがTwitterを見ていて、もし周りに本気で仕事に病んでいる人がいたら、ぜひ勧めてあげてほしい。

Twitterで発信する言葉は一見気軽なものなんだけれど、ブログよりもFacebookよりも、よっぽど密度の濃いその人の本音が現れているものだ。

「ニートの歩き方」にも、下記のような文章があって納得されられた。 

結局僕らが現実世界で誰かに会うときに聞くことができるのは、目の前にいる相手に伝えることを意識した発言ばかりだけなんだけど、ツイッターを見るとよそ行きでない素のその人の考えを見ることができたりする。

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

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